大浜騒動1-1
維新期の不安定な政情のなか、この三河の地
で起きた事件である。
現在まで、決して忘れ去ってはならない意味
を持ち続けていると思う。
真宗門徒が培ってきた、信仰を中心にした
伝統や生活が破壊されていくことへの不安と
憤りから、藩庁へ抗議した。それが門徒数千人
をまきこんだ騒動へと発展した。
わたしたちの精神ののありようを観ようとするとき、
どのような変化があったのかを辿ることで
はじめてそれを、はっきりさせることができるだろう。
いまここだけをいくらみていても、みえて
こないものが、三河の歴史をとおして初めて
その姿を現す。
明治初頭に起こったこの事件は、私たち日本人
のこころのあり方が大きくカーブを描くところ
に位置する。
神仏分離・国家神道の政策は現在の私たちの
精神のありかたにいまだに大きな影を投げかけ
ている。