尊厳死

以前、藤田保健衛生大学の久居市の
ななくりサナトリウムに行ったことがある。
ホスピスにとりくむ先進医療体制をもつ
病院だからだ。
僧侶と看護士と医師で終末期医療を考える会を
結成し、いろいろな取り組みを見学したうちの
一つだったのだ。
ちょうどいまテレビでそこを取材している。


69才の女性がインタビューを受けている。
「自然のながれに身をまかせ、
延命治療をせず、死にむかっていきたい。」
ということばにうなずく。


死がまじかであることを
告げる医師も、また死するもの。
そしてここにいる自分も。
だれもここを超えなければいけない。
自分が死をまじかにしたとき、このひとの
ように自然に死に赴くことができたらよい。


もうひとりの77才の男性は
長いガン治療をうち切り
ホスピスへきた。
「こうしてやっと、
自分を取り戻すことができたといい、
一日一日が大切なんだ」静かな声で言った。
この人たちには、
敬虔な生への態度が共通する。