谷川俊太郎の詩がA新聞に
毎月載っている。
その11月のもの。


人生という旅における
車窓から
みえる老年の風景が写し出されている。
谷川俊太郎の詩は
しゃれたもの、わくわくするもの
という印象が強いが、
これは、それとはすこし違っている。
宗教心にもつながっていくような
自己をみつめる詩だ。


心の皺  谷川俊太郎



セピア色の写真の中の三歳の私
母の膝で笑っている
この子と喜寿の私が同一人物?



心臓に毛が生えたぶん
頭から毛がなくなって
だけど不安と恐れはそのままで


心は体ほどには育たない
としても心には皺は増えた
顔と同じに 脳と同じに?


もみくちゃにされ丸められ
磨く暇もなかった心
芯にはいったい何があるのか